未経験でこの業界について知りたい
・具体的にどんな作業内容があるの?
・辛いことってどんなこと
・この業界にいてよかったこと
電気設備工事業界に勤め9年目、現役の電気工事士が答えます。
✓この記事を読むと
電気工事士の仕事内容、現場の雰囲気がざっくりわかります。
これから電気工事士を目指す人、興味がある人に向けて
業界の雰囲気が少しでも伝わればいいなと思いますので、
最後までお付き合い頂ければ幸いです。
✓電気工事士の仕事内容
みなさんは電気工事と聞くとどんなイメージがありますか?
私が学生の頃のイメージは、電柱に登ってなんかやってる人でした。
実際のイメージは、
[ 電気が無いと動かない、点かないもの(設備)に対して電気を届ける、
つなげる仕事 ]
電気を届けるために、その通り道を作るのも電気工事士の仕事です。
ひとえに電気工事といっても、たくさんの種類があります。
すべての工事に携わる人は少ないと思います。
大抵は、どこかのジャンルに特化して工事をしていることが多いです。
今回は、私なりに大きく3つのジャンルにに分けて解説していきます。
⓵.外線配線工事 ⓶.建築付帯電気設備工事 ・変電設備電気工事 ・屋内配線工事 ・ビル、工場保守、メンテナンス ⓷.生産設備付帯電気工事 ・製造機械などの電源工事 ・計装電気工事
私は、この中でも②、③の工事に従事しています。
①に関しては、少し浅くなってしまいますがご了承ください。
それでは見ていきましょう
①. 外線配線工事
発電所で作られた電気を、建物、工場、一般住宅などに供給する工事です。
・電柱の新設、建て替え
・架空線(電線)の張替え、延線
などが主な仕事です。
電柱、鉄塔に登ったり、高所作業車に乗ったりと
高所作業が多いイメージです。
山奥など、森林が架空線にあたったりしてるときは
木の伐採などもしていると聞いたことがあります。
電力関連会社などが従事していることが多いです。
②. 建築付帯電気設備工事
建物に付随するあらゆる電気設備に対しての工事です。
新築現場では、建築業者(ゼネコン)と並行して工事を行います。
建物の改修、リフォームなどに伴い、電気設備の撤去、
移設、復旧なども行います。
電気工事の基礎となる部分が多いです。
工事の規模にもよりますが、1~2で作業するときもあれば
7~8人のグループで作業する場合もあります。
・変電設備電気工事
変電設備は、電力会社から供給された電気を変圧し、
通常、私たちが使用できる電気へと変換する設備です。
ここで変換された電気を、さらに電気を配るための箱、
配電盤へと供給し、配電盤から各設備へと供給します。
変電設備の設置工事や、配電盤への電線の配線工事
配線を通すための配管工事、ケーブルラック工事などを行います。
変電設備は重量物、重いことが多く、
クレーンを使っての設置なども行います。
・屋内配線工事
一般住宅でいえば、照明器具、コンセント、エアコン
給湯器などの電気設備への電気配線工事
機器の取り付け工事などを行います。
工場やビルなど建物の大きさや種類によって
設置される電気設備の種類も増えます。
空調設備、排水設備、ボイラーなどの蒸気循環設備
あらゆる設備へ電源を供給します。
また、電源を供給するだけではなく、それらの設備を
制御、コントロールするのも電気で行うため
ここでも電気工事が発生します。
・ビル、工場保守、メンテナンス
年数の経過した建物の設備は当然劣化していきます。
人為的な要因もありますが、電気設備のトラブルによる
故障の対応、メンテナンス、機器更新などが主な業務です。
③.生産設備付帯電気工事
屋内配線工事と近い部分がありますが、電源工事以外にも
機械設備の制御配線など含まれます。
機械、工程(ラインなんても呼ばれます。)
・製造機械設備(ライン)などの電源工事
機械設備自体の主電源工事です。
設備の大きさにもよりますが、変電所から直接
配線を引き込む場合も少なくありません。
・計装電気工事(機内配線)
機械設備の種類にもよりますが、全自動化で動く
機械設備の制御をするための配線を行います。
機械を制御するための中枢、制御盤の中では
ハードで組まれた、シーケンス制御、PLC制御で
機械設備をコントロールしています。
製造ラインの一部更新、制御回路変更など
制御盤内の改造なども行います。
プログラミングに近い要素もあります。
なんとまぁ、、、色々ありすぎですね
私のざっくりなイメージですが
・大手電力会社の電気を建物、工場まで届ける電気屋さん →外線配線工事 ・建物を建てる系に強い電気屋さん →屋内配線工事、各種電源工事 ・機械設備の機内配線、制御関係に特化した電気屋さん →計装電気工事
って感じですかね。
電気工事の会社を調べるときに
どの工事に特化しているか調べると良いかもしれませんね。
体験入社とかインターンシップなんかできればベストです。
電気工事の基礎、ベースとなるのが
屋内配線工事だと思うので
建物を建てる系の電気屋さんが多いイメージです。
自分がどんな電気工事をしたいか分かっていると
モチベーションにもつながるかもです。
私のいる会社では、外線配線工事以外は携わっていて
直に現場で作業したこともあります。
✓超具体的、作業内容
各シチュエーションごとに分けてみました
・一般住宅新築編
みなさん、ご自宅のコンセントにスマホの充電器など
プラグを挿すと使用できますよね。
電気が通っている証拠です。実はやつらはすべて有線なんです。
パッと見は、壁にコンセントが付いているだけですが
壁の中に電線が通っていて(隠ぺい配線)、分電盤まで延びています。
この壁の中に電線を通し、照明、コンセントなどを
取り付けるのが作業内容となります。
建物の構造上、完成後に配線するのは不可能に近いので
建築業者が建物を建てる工事と同時に、電線を配線していきます。
電線の配線のほかにも、コンセントやスイッチを固定する
ボックスを仕込み固定させていきます。
必然的に、建物の構造、組み立てる工程などを
理解しておかないと、配線、ボックスなどを
仕込むことができません。
大工さんの作業内容も、いつの間にか覚えます。
屋外に、EVスタンド(車の充電器)や外灯なんかがある場合は
その場所まで、地中を埋設して電線を延ばします。
土木作業です。穴掘りもします。
電線も保護しなくてはいけないので、電線管を埋め込み
その電線管に電線を通していきます。
工期的には、早くて1.5か月、遅くて半年くらいでしょうか
建物の規模にもよると思います。
ベテランとなると4~5件こなす人もいます。
工場、ビルの新築などもこれのスケールがデカい版のイメージで
良いかもしれません。
・工場編
工場内のボイラー設備を新しくするとします。
古い今のボイラーを取り外(撤去)し、新しいボイラー設備を
導入、設置する工事です。
ボイラー設備には、ボイラーを動かすための電源線
ボイラーをコントロールするための制御線があります。
まずは、これらを撤去します。
新しいボイラーが据えたら、これに対し
電源線の配線工事、制御線の配線工事を行います。
露出配管工事といって、鉄の電線管を使って
電源線の配管、制御機器までの配管工事を行います。
電線管の太さは、1.5Lペットボトルの飲み口ぐらいの
物から持ちてくらいのものまであります。
これらを、曲げて、切って、つなげて、付属部品を駆使して
細かく支持して、配管工事を行っていきます。
配管が完了したら、この中に電線を通していきます。(通線作業)
通線が完了したら、各機器へ電線の接続を行います。(結線作業)
結線が完了したら、接続が間違いないかチェックをして
試運転、動作確認をして完了となります。
工期的には、突貫工事で3~4日、余裕があると7~8日くらい
文章で簡単に書くと、すごく簡単そうに見えますね。
どちらの作業も覚えることが多く、他業者との取り合いも
あるので、実際はもっと大変に感じるはずです。
配管工事なんかは、自分の手で配管ルートを作っていくわけですから
何回も、工事して練習していかないとイメージも沸きにくいです。
配管を曲げる力加減は感覚で覚えるものですし
配管の支持間隔や、通して良い電線のサイズなんかも
ちゃんと決まっていて、それらも覚えていかなくてはなりません。
✓辛いことってどんなこと
・覚えることがとにかく多い
電気的法規、材料の種類、工事の手法、その他色々
電気工事のことだけでも、たくさんあるのに
工事の都合上、建築、土木、設備、通信など
他業種の知識も持っておかないと、何かと
不便な時が多いと感じます。
・人間関係に苦労する
若い人が少なく、相対するのはいつも
自分の父親くらいの頑固な職人さん。
職人気質な人満載です、電気屋同士でも
感じの悪い人はいますし、とにかく他業種の
絡みが多く、コミュニケーション能力が求められます。
・拘束時間が長く、休みが少ない
新築の建設現場での電気工事は基本最初から最後まで
携わります。他業種の工事進捗の遅れは、必然的に
電気屋に回ってきます。
そのため、建物完成の竣工間際に残業することもしばしば、
工場の保守メンテナンスでは
工場の稼働停止に合わせて工事することが多いので
休日、祝日、連休中の工事が多い。
私は入社してから、GW、お盆、年末年始は平日だと思わされてますw。
✓この業界にいてよかったこと
・リーダーシップの向上
人間的にはかなり鍛えられると思いました。
ちょっとのことじゃ、へこたれなくなりましたし
状況把握、分析力が身に付くので、リーダーシップが
とれるようになると思います。
・コミュニケーション能力向上
ただし、中年のおじさん限定ですw
・いざという時、役に立つ知識が多い
電気は、私たちの生活に欠かせないものとなっているいま
電気工事士の知恵は、普段の私生活、トラブルにも対応でき
役に立つものばかりと感じます。
✓おわりに、
今回は、電気工事士の現場施工(職人)に焦点を合わせて書いてみたつもりです。
実際には、現場を施工する人(職人、電工)、職人さんをまとめる人(職長)、
現場の施工状況を管理する人(現場代理人、施工管理技士)と立場が分かれています。
私の経験上ですが、現場代理人を目指す人でも、少しは現場経験積んだほうが
工事も、人間関係もスムーズに行くような気がします。
以上となります。
初投稿文、最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、またっ!
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